って……おいこらちょっと待て。
なんで俺がお前に手を引かれているんだ?
俺は子供か?!

くっそぅ……!
女子に手を引かれて歩くなんて、男がすたるじゃないか!

俺は壺山に負けることが悔しくなって、優勢に立つことにした。
俺が引かれる側だった彼女の手をギュッと握り、彼女より前に出て歩く。

「あ、ちょっと……! 安城……?」

ぐいぐいと彼女の手を引いて、早歩き。
壺山は後ろから何か言いながらも、俺に引っ張られながらついてきた。

ガラリと音楽室の扉を開ける。

「……お前ら、付き合ってたんだ?」

「え?」

「違うけどなんで?」

チャイムがなる寸前。
ほぼクラスメイトが揃っている音楽室の入口でかけられた声に、俺も壺山も揃って首を傾げた。