「なんだかお疲れみたいね」


頼んだはいいが、まったくグラスに手を付けない俺に、砂夜は断定に近い質問を投げてきた。


その読みは正しく、俺はうなずくばかり。


「その三つ揃えと何か関係が?」


カウンターにひじをついて、手のひらにあごを乗せる。


その薬指で唇を撫でるのが、砂夜の癖。


それが癖だと分かったのは、ごく最近だ。


口紅がついてしまった指先を見つめながら、「そうなんだ」と答える。


「見合いをね、してきたんだ」