あぁ、とうとう来てしまったか。
そんな思いで顔を洗い、朝ごはんを食べ、歯を磨く。
体が重いとはこのことか。

「気を付けて行ってくるんだよ。あとこれ、持っていきなさい。」

お母さんがくれたもの。それは、私が大好きなアイドルの写真だった。
そのアイドルを好きになってからは、誰にも恋することがなくなったのだ。
なんで持たせたのかは知らないが、私はそのまま受け取り家を出たのだった。

学校に着いたとき、もう既に迎えのバスは到着しており、自分の楽器と荷物を積んですぐ出発。
バスは何校か合同で乗っているため、ものすごくにぎやかだ。

「ねぇつう、かっこいい人いるかな??」

「もうさ、それやめたら?(笑)だから彼氏できないんだよー。」

幼馴染のまき。いつもイケメン探しをしている、ちょっと変わったことをしたがる子だ。

「うっさい!つうだって彼氏いないくせに?えらそーに!」

「私はこのアイドルがいれば充分なんですー!」

不安と1%の楽しみを抱きながら、バスの移動時間を楽しんだのだった。