3秒後、世界が変わる。


「じゃ、今日はここまで」

授業の終わりを知らせるチャイムが鳴った。

「茉白〜、さっき怒られてたね」

いたずらに笑う悠来。

「外に何かあったの?」

「や、桜散ったな、って思っただけ」

儚いな、なんてそう、思っただけ。

「たしかに一瞬だったよね〜
あんなに綺麗なのにもったいない」

「儚いからこそ人はみんな桜に惹かれるんだよ」

背後から声がして驚いて振り向く。

「三井先生!」

そこには先ほどでていったはずの三井先生が立っていた。

「どうしたの?」

「どうしたの、じゃねーよ。
逢崎お前、人の授業聞いてなかったから今日の放課後、国語科準備室こいよ」

「え、ちょ、は?」

「雑用たっぷりさせてやるから楽しみにしとけよ」

そう言ってまた私の頭を教科書で叩き、教室をでていった。

「だって、茉白」

「……さぼろうかな」

「まじめに行きなよ」

そう言って笑う悠来はどこか楽しんでるように見えた。



放課後、私はコンコンと準備室のドアをノックする。

中からどうぞ、と声が聞こえガラガラと扉を引いた。

「お、逢崎ちゃんと来たな。
褒めてやろう」

「……帰っていい?」

「来てそうそうそりゃないだろ。
まぁ座れって」

扉を閉めて三井先生の隣の席に腰を下ろす。