悠来は簡単に言うと美少女だ。
透き通るような肌に地毛だという栗色の髪。
ぱっちりした瞳にすらりと伸びた手足。
確かどこかの国とのハーフだったはず。
道を行けば誰もが振り返るようなそんな女の子。
反して隣を歩く私は平々凡々な顔立ちに真っ黒いショートの髪。
特別スタイルがいいわけでもなく本当に平凡。
時折、私も悠来みたいに可愛ければと思う。
そしたらもっと毎日楽しいのに、なんて。
なにも楽しみがない、生きる意味もなく生きているこの感じがずっとずっと続いている。
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「ここは作者が〜」
三井先生が2ヶ月が経ち、やっと三井先生の現文の授業にも慣れてきた。
私の席は窓際でふと窓の外を見る。
目にうつる大きな桜の木は綺麗な花びらを落とし、すっかりと葉へと変わっていた。
「……さき、あいさき、逢崎!」
「え、あ、はい!!」
突然、耳元で大きな声で呼ばれ思わず立ち上がる。
「俺の授業よりも興味のあるものが外にあったか?」
笑顔だけど目が笑ってない。
「ごめんなさい…」
「ちゃんと聞くんだぞ」
頭を教科書で軽く叩かれる。
「…はぁい」
とりあえず返事だけしてシャーペンを手にした。
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