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サァ、と吹いた風が私の髪を揺らす。

気づけば春も終わって夏の空気が顔を出していた。

清々しい空気の香りに高校に入学して3ヶ月が経とうとしていることに気がついた。

「茉白!おはよう!」

通学路を歩いていると後ろから声がかかる。

振り返れば笑顔の悠来がよっ、と片手をあげていた。

「おはよう、悠来」

私も挨拶を交わし、2人で学校へと向かう。

何気ない日常。平凡な毎日。

刺激もなにもないこの日々に正直飽き飽きしていた。

"8時半までに体育館に集合"

2年7組の教室に着くと黒板に大きくそう書かれていた。

「どうしたんだろうね?」

悠来が不思議そうに首をかしげる。

今日は特に集会もないはず。

何かあったのかな、なんて思いながらとりあえず体育館へと向かった。

体育館にはもう7割方人が集まっていてエアコンもなく人と人との熱気で少し蒸し暑くなっていた。

「臨時集会を始めます。」

8時半を過ぎ、マイク越しの声が聞こえてそれまでざわざわとしていた体育館が静かになる。

「産休にはいった野田先生の代わりに新しく入った先生を紹介します。」

名前もわからない女の先生がそう言って、舞台の上に視線を向ける。