俺達はほのかに消毒液の匂いが残る一室に入り、冷えきったソファに向き合って座った


和也「…それで」


俺は要約した情報を和也に伝える。


若の変装作戦は失敗したこと

少女の両親の解放

少女の所有権譲渡の交換条件について

少女の母方

少女の身を守る必要があること


和也「…なるほど

交換条件に麻薬密輸か、さすが瀬尾組だな」


隼人「…また厄介な娘を……」


和也「……お前の立場的に余計にな…。

でも、俺もよく分かんねぇんだけど、あいつが結愛ちゃんを拾った理由が何となく分かる気がするんだよな

言葉で言えねぇし、あの子と大して話したわけでもねぇけどな」


和也はいつの間にか仕事口調ではなくなっていた


きっと素で、そう感じているんだろう


和也「…まぁ、俺も正直よく分かんねぇな

でも、たぶんあいつ自身もわけ分かってなさそうだぜ?」


隼人「…こんなこと初めてだからな

付き合ってやるよ、若様によ」


「和也、隼人」


「「若っ!!」」


俺達はドアを開けた男の前に膝まついた


「待たせたな、お前ら」


若の後ろには仁が壁に背中を預けて立っている