静かな病室で結愛の肺の音がよく聞こえる。


少し鼓動が激しいのは診察に緊張しているだろうか。顔を赤らめて必死に深呼吸している結愛を見るとその頬に触れたくなってしまう。


発作後ということで肺音は良いとは言えない


要観察の判断をし聴診を終えた。


「しばらくは安静にしていろ」


「…はい…。ありがとうございます」


俺の手は無意識に結愛の頭を撫でていた。


悪い、と言おうとしたが本人は嫌がる素振りを見せない。

分かりやすく頬を赤らめている


恥ずかしいのか、それとも熱の熱さからなのか


「熱はキツいか?」


額に手をやり体温を測った


それなりに熱い。


「…そんなに辛くないです」


彼女は顔に笑顔を貼り付けて言う


「…今は大丈夫か

辛くなったらいつでも呼べよ

それと、この薬今から飲めるか?」


遥太から渡されていた頓服のうちの2錠を手渡した。


「…はい、ありがとうございます」


「俺は少し救命に手伝いに行ってくる。

来てそうそうで悪いな

すぐに戻るが、何かあったら和也に言え」


「…はい」


再び彼女の頭に手をそっとおいた


「ゆっくり寝てろ」


彼女の体温が少し…


ほんの少しだけ上がった気がした。


病室から出ると、和也が待機していた。


「…若っ…!

どうかされましたか?」


「いや、今から救命の応援に行ってくるだけだ。


すぐに戻るが、その間結愛をまた頼む


隼人と仁に招集を掛けておけ。俺が戻り次第今日のことを説明する」


「承知致しました」