結愛がいる病院に向かう車の中で俺は一通のメールを受け取った。


相手は情報屋の隼人からだった。


メールでの情報伝達を詫びた上で、結愛に関する情報がそこには綴られていた。


情報漏洩防止のために、俺たちだけが理解できる暗号で内容が書かれている。


要約すると“結愛の親族が見つかった”とのことだった。


結愛の母親は、日本でも有数の大正時代から続く大企業の社長の一人娘であり、将来は親に決められた相手と政略結婚させられ、社長職を父親から受け継がれるはずであり、それ相応の教育を受けさせられていた。


しかし、結愛の母親は駆け落ちをし実家とは縁を切っていた。


跡取りを失った結愛の祖父にあたる社長は、後継者として養子を向かえ育てているとのことだ。


この社長は結愛を引き取りたがるかもしれない。


結愛のことを考えれば、俺たちみたいなフダツキのそばにいない方が好ましいに決まっている。結愛をこちら側の世界の人間にしたくはない。



血液関係があればきっとそこまで悪いようにはしない。


社長からしたら念願の血縁を持つ後継者ができるのだ。悪くはない。


結愛を普通の生活に戻してやるには社長の元に行かせることが最善と言えるだろう。