「取り急ぎ3000万は用意した」


「ほう
それは妥当ですね。でも、それだけですか?」



「他に何を望む

出来る限りお応えするつもりだ」



「とりあえず藤田たちはお返しして頂きますよ」



「…構わない」



「……ではこれはいかがでしょう。

近日中にブツが輸入されます。その受け取りからここまでの輸送を黒崎組に担ってもらうというのは。

黒崎組は警察に顔が利くと聞きおよびしております。警察は黒崎組を信頼している。

それを利用させていただきます」


「……了解致した。

そこまで求めるのならこちらの条件も加えさせてもらう。

宮野結愛の両親を解放しろ。瀬尾組が拘束していることは知っている」


「3000万が戻って来るのなら彼らに用はありません。お望みどおり解放して差し上げます」


「契約成立だ」


それぞれ契約を証明する書類にサインをし取引を終え帰路に立とうと立ち上がった。


「…では私はこれにて失礼「宮野結愛は、一体何者です?」



俺に被せて声を掛けてきた。


「…ただの女だ

深い意味はない」


「そうでしょうか?

あなた様ともあろうお方が自ら出向かれる事案などそうそうないでしょう

ねぇ?黒崎組若頭、黒崎龍太さん?」