これでもかってくらい優しい声で私の名を呼ぶ声の主を振り返れば、本当に優しい瞳で私を見る龍太さん
(たぶん、龍太さんは私が海行きたいって言った理由も何となく察してるんだろうな…)
龍太「少し、歩くか?」
龍太さんを見上げて笑顔でコクリと頷いた
ムニッ
ただ頷いただけなのに龍太さんに片手で両頬を掴まれる
また遊ばれてるのかと思い龍太さんを見上げると、その瞳は至って真剣なもので
まるで全てを見透かされるような感覚に陥る
龍太「だから、」
(作り笑いはやめろ、その言葉が思い浮かんできた)
でも無理にでも笑わないと、目から鼻水が出てきそうだから。
龍太さんの頬を掴んでいた手は風邪でめちゃくちゃになった私の前髪を整え、そのまま頬を撫でた
(…やばい、今優しくさせると鼻水出そう、目から)
私はぬくもりを感じたくて抱きつきたい衝動を抑えるのに精一杯だった
のに。
グイッ
青い海と青い空を映していた私の視界は突然、真っ黒なものに遮られた
そして気づいた。
龍太さんに抱きしめられているということに。

