「外…?」



左窓を向けば、一面に海が広がっていた



「わぁ

海なんて久しぶり……」




許可を得て窓を開ければ、ほんのり磯の香りも漂ってくる




駐車場について車は停止した



「龍太さん、運転ありがとうございました!」



龍太「ん」



「外、出てもいいですか?」



龍太「もちろん」



ゆっくりドアを開けて外に出ると、病室では分からなかった日差しの強さを肌で感じる



(まだ初夏だって言うのに、日差しは十分強いのね…)




私は砂浜には降りず駐車場から海を眺める




いや正確には、昔家族で訪れた海の景色と重ねていた





(もう随分と前のことだけど…)




一時期は毎年のように家族旅行で訪れていた海




でもある時を境に海に来ることは無くなった。




「………お姉ちゃん………………」




私は誰にも聞かれないようにそっとその言葉を口にする





海が誰よりも大好きだった私のたった1人のお姉ちゃん。




私にはかつて姉がいた、かつて。




姉が亡くなってから海には二度と来なくなった