桐ヶ谷さんの後ろに着いて行くだけだが、なんだか気まずい



「ゲホゲホゲホゲホ...」



昨夜から咳が出るようになっていた



(龍太さんにバレないように必死だったけど...)



すると、私の咳に反応して桐ヶ谷さんが立ち止まり振り返った



奏「ここの教室で待ってろ」



「は、はい


ありがとうございます」



お辞儀をしてお礼を言ったあと、教室に入ろうとした時



ドンっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!



桐ヶ谷さんがドアに手をついて私の行く手を阻んだ。



私の心臓はビクリと冷たくシビりあがった



桐ヶ谷さんに顔をグイッと近づけられる




もはや呼吸なんてできたもんじゃない。




「.......あ、あの.....」


声が震え、上擦る



奏「あんた、一体何者だ


どうやって総長に近づいた.......。



和也さんといい、ずいぶん手懐けたようだが



一体どんな手を使った



その貧相な身体か?」



「.........ち、ちがっっ」



あの時の恐怖を私は思い出して、息が吸えない感覚に陥る



龍太さんにお礼を伝えたくて病室を出たあの日と同じように。



顔の筋肉が固まり、身体中の血液が集まるような、そんな感覚



喉の奥からヒューヒューという音が聞こえる




「ゲホゲホゲホゲホゲホゲホゲホゲホゲホゲホ.....ゲホゲホゲホゲホゲホゲホ

ゲホゲホゲホゲホゲホゲホゲホゲホっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!

ゲホゲホゲホゲホゲホゲホゲホゲホっっ」




私が最後に見た視界はぐにゃり歪んだ床だった