「それから、結愛はここにいたくているわけじゃないだろ?

俺たちの都合で俺たちが無理やり結愛をここにおいている

生活の面倒をみるのは、拾った俺の責任」


“分かったな”と有無を言わせない龍太さんの声を聞けば、何も言えない


龍太さんの言葉は優しい言い方なのだけど、チクリと刺さるものがあった


(...........私は

“ここにいたくている”

そんなことを口走っていいような立場ではない)


喉のすぐ上までせり上がった言葉を唾と一緒飲み込む


カーペットをひいていない床から侵略してくる冷たさが足全体に広がった気がした



俯いた私を見て、無言の肯定と思ったのか金銭面の話から話題は逸らされた


「このダンボールは結愛の部屋に置いておく

中身を確認するといい

それで、どうしても取りに行きたいものがあったら言え。すぐには無理でもいずれ持って来てやる」


「.......えっと、私の部屋って.....」


「さっき結愛を寝かせていた部屋

あそこは結愛の部屋だから自由に使っていい」


(部屋なんかも用意してもらって申し訳なさで萎縮する...)