それは突然だった。


和也たちと今後の動きについての詳細を話し合っている時に、ほんの僅かにドアが開けられた。


確かに、開けられた…。


だが、人間が入ってくる様子もない。


現状が現状なだけに一室の空気には緊張が走った。


「誰だ」


仁がドアに近づきゆっくりと開けるが誰もいない


いや、見つけた。


ドアを開けた張本人は下にいた。


下にうずくまっている…。


「…結愛?」


和也「結愛ちゃんっ!」


しゃがんで結愛に近づく


「結愛、お前なんでここに…」


結愛の息遣いがおかしい


(…発作?いや、少し違う……)


まさか、と俺の白衣を掴んでいた結愛の腕を急いで診た。


(……チアノーゼ)


体内の酸素が足りない。


俺は急いで結愛を抱き上げて病室に戻った。


腕の中の結愛は身体中に熱を帯び、苦しさから顔の筋肉が萎縮し始めている。


ベットに横たえられた結愛は呼吸困難の中、何か俺に伝えようと必死になっている。


が、ヘタに喋らせると誤嚥させる可能性がある。


「いいから黙って。

早くこれ咥えて吸入…」


俺が吸入を用意し、咥えさせようとした時


顔の筋肉が痙攣しているはずの結愛が微笑んだ。


俺は不覚にも一瞬手が止まった。


「…あり…がと…ざい、した…」


「…え……?」


ピーーーーーーーーーーーー


結愛の身体に取り付けたセンサーが


呼吸停止を知らせる警告音を病室にけたたましく響かせた