そう思っているとブーーッと先生のズボンのポケットから鳴り出すスマホ。
どうせ彼女...。

「出ていいよ。急に叫んだりとかしないし」
「でも...」
「早く出ないと怪しまれちゃうよ。」

そういった私を見てため息をついた先生は
仕方なく電話に出る

「どうした?」
『あ、たっくん?ごめんね急に。大丈夫?今』

スマホから聞こえてくるのは優しい女の人の綺麗な声。
そして心なしか先生の声も穏やか。
それだけで私の存在意義を失いそうになる、

「うん。大丈夫」
『あのね。急で悪いんだけどたっくんのご両親に会うの今日の19時だったじゃない?
それを20時に変更できないかな?』

...両親に...会う?

「...わかった。じゃあな。」
『うん。あとでね。』

やだな、、体が震える、

「朱音...」

電話を切った先生は申し訳なさそうに私の名前を呼んだ。

「...結婚する...の?」
「...」

お願い、

「拓也先生?」