報復の愛を君に。

花岡が1人前に立つと、体育館にいた生徒達は、仕方なく目を向けている感じだった。

そうだよな。
区役所の説明なんて、だっれも興味ねーよな。

「シンデレラって、皆さん知ってますよね?」

シンデレラ?
急にどうした?

ほら、生徒たちもポカンとしてるって。

「ここにシンデレラと王子様の絵が描いてあるんですが、これ…。
婚姻届なんですよ」

あー、そういうことね。

花岡の掴みはばっちりで、区役所と聞いたときに思い浮かべそうな固い印象を崩していった。

生徒たちも周りと感想を言い合いながら花岡の話に耳を傾けている。

こうやって見てると、区役所の人が話してるというよりも、近所のお姉さんが喋ってるように見えてくる。

「そんな訳で、区役所ってある程度は決まりのある場所。
逆に言うと、その決まりさえ守ってしまえば、自分の好きなようにできる。
とても創造的な場所なんです」

うん。たしかにな。

気がつけば、俺も花岡の話に引き込まれていた。
何度頷いたかわからない。

たまにはああいう話を聞くのも悪くない。