報復の愛を君に。

後部座席には手提げ袋2つと、段ボール箱1つが乗せられた。
あの上司、これだけの荷物を車なしで花岡に運ばせようとしたのか。 
鬼だな。

「すいません。
よろしくお願いします」

花岡が助手席に座る。
ここからは2人の空間だ。
向こうは仕事の延長としか思ってないんだろうけど。

「今から行く高校、出身校って言ってたよな?
よく行くのか?」

「いえ、卒業以来なので、数年振りです。
どうなってるんだろうな。楽しみです」

「数年じゃ何も変わってねーだろ」

「それもそうですね。
あの頃のままでいてくれるなら、嬉しいです。
私の居場所でしたから」

居場所ね…。
まただよ。

こうやって、ふとした瞬間に影を垣間見せる。

よっぽど大事な居場所だったことが、俺でもわかるくらいに。