報復の愛を君に。

今日はその秘書としての仕事をする日。
何度か通ったこの地味な区役所も今日で最後だ。
そう考えると清々しいな。

「おい、渉」

「あ?」

このタイミングで親父が話しかけてくるなんて珍しい。

「最近、気になってる女性がこの区役所内にいると聞いたが、どの子だ?
お前に平手打ちできる子なんかそうそういないぞ」

「は!?
なんで知ってるんだよ!」

「山下君が教えてくれた」

あの野郎!
誰にも言うなって言ったよな!