報復の愛を君に。

「過呼吸の原因が、俺だったとしても、お前は頭を下げるのか?」

眉をひそめて首を傾げる。
まさか、気づいてなかったとでも言うつもりか?

「あなたが私を閉じ込めて、電気も消したんですか?」

「知ってただろ!
あの時確かに目が合った!」

また首を傾げてやがる。
お前の脳みそは記憶力を捨てたのか?

「そういえば、扉が閉まる音がして、振り返ったときに誰かと目が合いました。
梅原さんに似てるな、とも思いましたが…。

後から、あなたが倉庫の外にいたと聞いて、何か知っているのではないかと思いました。
疑うべきかもしれないとも。

ですが、証拠はありませんし、私の記憶も自信の持てるものではありませんでした。

ですから、誰が扉を閉めたかなんてどうでもいいんです」

「どうでもよくねーよ!
どこまで良い人ぶれば気が済むんだ?

お前は、どこまでだったら平気な顔して俺を許すんだら?

はっ。
こんなんじゃ、俺がお前を殺したとしても、お前は俺を許しそうだな」

胸ぐらを掴んで、ぐっと引き寄せる。
こいつを怒らせたかった。
怒らせて、だけど俺には敵わないんだと認めさせたかった。