今は、その書類が1枚消えたと言って大騒ぎ。
「あ、これじゃね?」
何に使う書類かはわからねーけど、“梅原瀬奈”と書いてある。
うん。
なかなか良い眺めだ。
「そう!これ!
ありがとう、助かったよ」
「これ、見つかんなかったらどうなんの?」
「区役所で、花岡さんって呼ばれ続けるのかな…?」
「結婚したのに?
こんな手続きしなくても変えられりゃいいのにな」
「本当だよ。
すっごく面倒」
かなり嫌そうな顔してんじゃん。
ここでつい困らせたくなるのは、俺の悪い癖。
「そんなに面倒なら、俺と結婚しない方がよかった?」
「それはない」
即答だ。
「よかった」
答えのわかりきった質問をして、愛を確かめたくなる。
十分すぎるくらいにバカな夫婦かもしれない。
けど今は、この生活が幸せでたまらない。
この笑顔を、俺はずっと守っていこう。
口には出してやらないけどな。
〈完結〉
「あ、これじゃね?」
何に使う書類かはわからねーけど、“梅原瀬奈”と書いてある。
うん。
なかなか良い眺めだ。
「そう!これ!
ありがとう、助かったよ」
「これ、見つかんなかったらどうなんの?」
「区役所で、花岡さんって呼ばれ続けるのかな…?」
「結婚したのに?
こんな手続きしなくても変えられりゃいいのにな」
「本当だよ。
すっごく面倒」
かなり嫌そうな顔してんじゃん。
ここでつい困らせたくなるのは、俺の悪い癖。
「そんなに面倒なら、俺と結婚しない方がよかった?」
「それはない」
即答だ。
「よかった」
答えのわかりきった質問をして、愛を確かめたくなる。
十分すぎるくらいにバカな夫婦かもしれない。
けど今は、この生活が幸せでたまらない。
この笑顔を、俺はずっと守っていこう。
口には出してやらないけどな。
〈完結〉


