「あんた、花岡を妹としてなんか見てねーだろ?

そこまでして、自分の手元に置いておきたいか」

「何訳のわからないこと」

「わかるんだよ。

お前の怒りはな…。
女を取られた男のみっともない八つ当たりと同じなんだよ。

でも安心しろ。
もう俺らは会わないって、とっくに決めてんだよ。
あんな生意気な女、俺が欲しがるわけねーだろ?

良かったな。
横取りされなくて」

木村を言い負かしても、言い返せずに悔しそうに去っていく背中を見送っても、全く勝った気になれない。

勝てないに決まってる。
口では何と言おうと、俺は花岡に会いたいんだから。