もうこんな時間か。

アルコールが抜けきらない体を起こし、シャツに袖を通す。

「渉さん?
もう行くの?」

上目使いで見つめてくるのは、艶のある長い髪と大きな瞳を持ち合わせた、綺麗な部類に入るであろう女。

「仕事があってな」

「先に行くの?
まさかね。
私を置いていかないわよね?

ちょっと、聞いてる?
次はいつ会えるの?」

後ろから女の腕が回される。
シャツがシワになるだろ。邪魔だな…。