「お弁当作るってなんか新妻みたい」



悠君の発言にかぁぁぁあとあからさまに顔に熱が昇る。
なんのためにこんなド直球を棒立ちのバッターに送るかね、顔面にホームランだわ…。



「本当に?無理しなくていいからね?」




「む、む無理してないってば、ほら次移動教室だよ」




「まだ、15分はあるよーっ、て聞こえてないか」



顔を覗き込んだり、しないで…


かっこいい人がそれすると、ナツメ君がそれすると、犯罪級なんだよっ



こういう時だけ真剣に素直に心配してくるから気が狂う。もっと軽いノリにしてほしい。
早くなった鼓動に歩数を合わせてみんなより早く教室に戻るのだった。


そして戻ってから、そういえば次の授業が教室でできる単なる数学だと知って愕然とした。


この日、私は欠かさずお弁当をナツメ君と卵焼きセットだけをちぃちゃんに作ってくる役割に任命された。