「ありがと、よろしく」



ナツメ君はそれだけ言ってジャングルジムから飛び降りた。

「やっ」なんて可愛い効果音まで添えて。

そういうとこあざといよなぁと女の私でさえ嫉妬してしまう。

体育の授業は基本サボっているナツメ君だから運動嫌いなのかと思っていたけど、そこまで運動神経は悪くないようだ。


なんというか、ずるいな、この人。



「じゃ、帰るね!」



「うん。バイ…さ、さよなら」



バイバイなんて言える仲じゃないと気づいたからよかったけど、危なかった。
きっと相手は気にしないんだろうけど…



「じゃ、学校で!またね」



公園を出ていく姿を眺めて放心する。

ナツメ君だから?

夜だから?

あ、星が綺麗だから?

きっと心が癒されていたからだ。