「今、僕が死ぬのが怖いって思ってるって言ったら嘘になっちゃうかな?」



ナツメ君の声は消毒液の匂いに紛れて消えていった。



「楽をした僕は生きたって言えるのかな」



震えている声に鼓動が煩く私を催促する。
どうにも出来ない問いかけにナツメ君の固くなったシーツを握る手を上から包み込む。

それぐらいしか出来なかった。



「ナツメ君は生きてるよ、私の前にいるもん。死ぬのが怖いなんてまさに生きてる証拠だよ!無理しなくていいの」



ナツメ君は私の肩を抱いた。
病院のベットにストンと腰を落ろし、抱きしめられる。
ナツメ君のすすり泣く声を聞きながら私も多分泣いていた。