その男の名は中沢蓮。

所謂『チャラい』と呼ばれる類に入るその男は、この学校で一番モテている。




後輩、同級生、先輩。いろいろな女の子の噂は途絶えることを知らない。が、同じ噂が一か月以上続いたことはない。







そんな男が、どうしても気に喰わない。










「宮本さん、眼鏡とったら絶対可愛いって」








私にいちいち話しかけてくる男が、どうしても気に喰わない。


黒ぶちの眼鏡をかけ直し、その言葉を無視することを決め込んだ。








今は、授業と授業の間の10分休憩でも、昼食タイムでも、放課後なわけでもない。





三時間目の数学の真っ最中なのだ。










「聞いてる?宮本さん」