すごい…。この先生すごい…。そんな考え方、ネガティブな私にはないよ…。

なるほど、これが県下ナンバー1の高校の先生の指導方針か…

ふと感心しているとガラッと再び扉が開いた。

直美ちゃんが帰ってきたのだ。

『ごめんねハルちゃ〜ん、長引いちゃっ…、誰あなた?』

倉木先生を指差して少し驚きながら言う。

『あ、申し遅れました。倉木翔といいます。2年D組の担任で物理担当です。勝手に入ってすみません〜。事務連絡があって参りました。』

今の倉木先生にはさっきまでのチャラい感じが全くない。

でも直美ちゃんはどこか見破っているようだった。ああ見えて勘は鋭い。

『ふーん。いつからいたか知らないけど純粋なハルちゃんに手出しちゃダメよっ。若い先生ってそういうの怪しい〜。あ、事務連絡だっけ。ごめんちょっと経ってから出直してくれる?』

目を細めて言う。


『うーっす!じゃぁ3時半になったらまたまいりまーす』

倉木先生はにっこり笑って手をヒラヒラ振りながら去る。

『うっわ、チャラ男じゃん。あ、ハルちゃんごめん、着替えよ着替えよ。あ、眼鏡ね、はい!』

やった解放される〜!!

『うん!ありがとっ』

そしてさっと着替えて家庭準備室を出ようとした時直美ちゃんに呼び止められた。

『ハルちゃん』

『ん?なに?』

『あの倉木っていう先生どうなの?』

どうなの…って…言われましても…

何を言おうか考えていると、今にも動揺しそうなボディタッチの記憶が戻ってきた。

『ぬおおおおおっ!!』

『どうした?!!ハルちゃん…?顔赤いよ?』

『えっ…あ!うーん、何でだろう〜!あ、今めちゃくちゃ暑い〜!』

『そうなの?さっきまで露出が多いドレス着てたけど』

な…っ。でも教師にボディタッチされて赤くなってるとか恥ずかしくて…言えない!!!

言葉に詰まっていると直美ちゃんがにやっとした。

『ハルちゃん…、もしかして倉木先生に惚れたな〜?』

…え!!何を言う!!!あんなチャラいの…

一般の女の子はああいうのが好きなのかもしれないが、私は学校1そういうのには縁がない女だ!!

『なな、ないないない!!!それはない!!!だだだ男性に対する耐性が整っていないだけです!!!じゃぁ、あばよ!!!』

そう放って逃げるように家庭準備室から出た。