ガラッ
ドアが開いた。直美ちゃん帰ってきたか。さて、私に視界をください…!
『あの、眼鏡返して…』
ところが現れたのは直美ちゃんではなく一人の男の人だった。
頭が小さく、引き締まった体で足も長い満点体型。金髪に近い茶色の髪が目立つ。見える範囲では白い服を着ているようだ、流行りなのかな。
『あ!ごめんなさい!間違えました!あの、ここって家庭準備室じゃないんですか?』
低く透き通った声で語りかける。
『え!!あ!!!そうで…す…。合って…ます。ごご、ごめんなさいお見苦しいものを…これ…には事情が…』
男に対する耐性はほとんどない。
ましてや地味子だぞ?!そんな奴のドレス姿をこんないかにもキラキラした人生送ってますって言ってそうな男に見られた日には…!!
あぁ、黒歴史だ…。
すると男の人はスッと入ってくる。私の目の前に現れ、優しく笑って話かけてくる。
『あなたは、生徒なの?』
『は、はい…。あ、あの、ここに何の用があられて…』
『あははっ、ちょっと村田先生に事務連絡があってね。あ、名乗るの忘れてた。俺、倉木翔っていいます。あなたは?』
『蒼井…です。』
『蒼井ちゃん!よろしく!ちなみに何年生?』
『3年…です…。』
『え?そうなんだ!受験生がこんなことして大丈夫なのか〜?』
ニヤっとして私の額をツンツンしてくる。
やめてくれ!恥ずかしい!!こんな地味女子にこんなことをするとはかなりの熟練者だ…!
頭を激しく下に傾け、振り払う。
『ややや、やめてください!これには事情があるんです!直美ちゃ…村田先生に無理矢理着せられて…!』
『あははっ、そんなに慌てないでよ、まぁ良いよ。かわいいし。ちゃんと勉強もしろよ〜。』
かわいい…どこが?私をバカにしてるのか…?
倉木という男はそう言うとにこっと笑って私の頭をポンポンする。
そしてしゃがんで私の座っている椅子の手すりに両腕を乗っけて話しかける。
『ちなみに蒼井ちゃん、最近の模試はどうだったの?』
模試…か…。再び物理の16点がフラッシュバックする。
『えっと…全体的には悪くなかったです。物理が飛び抜けて…悪いですけど。』
にしてもこの人馴れ馴れしいな…
すると急に男は立ち上がった。
『物理が悪い!!!?』
目を大きく見開き、すさまじい圧力を感じさせた。
え、これ禁句?え、地雷踏んだ?ヤバい?地味なんだから物理くらいできろ、と…?
『あ、あのすすすすみません!!定期テストは毎回暗記だけで高得点をとり、ただ、どのようなときにどのようなものがどう作用するのか…』
『ちょうど良い!!』
私の肩を両手で揺さぶってくる。
『…え?はい?』
『俺、物理担当だから、何でも聞いてよ!』
え…!!え!!!
この人、教師だったの…?!!
だって髪の色チャラいし、生徒へのボディタッチがホスト並みだし、シュッとした顔してるし、絶対、外部の人か卒業生かと思ってた。
百歩譲って体育教師ならありえそうだけど、物理…?!!
あ!白い服ってよく見たら白衣だ!!
『あーっ、今、こんなチャラメガネが物理教師なの〜?ありえなぁ〜い!って思ってたでしょ!』
バレた…か…。
『あの…、えーっと…。あ!むむむ村田先生当分ここには戻ってこられない感じですよ!!出直していただくことをおすすめしま…』
『あはは、ごまかすとはひどいなぁ〜。俺、こう見えて去年まで県下1位の菱ヶ丘高校で教えてたんだけどなぁ〜』
なぬ?!!菱ヶ丘だと?!!このチャラメガネが?!!
菱ヶ丘高校は県下ナンバー1の優秀な高校だ。有名大学の合格率も70%を超えている。
ちなみに私の高校は鶴ヶ丘高校といって一応県下ナンバー2なのだが、菱ヶ丘との間の壁は厚い。有名大学合格率は30%前後だ。
にしても、直美ちゃんと同様、人って見た目によらないなぁ…
悔しいけど、これは、物理を教えてもらいたい…。どこまでこの物理音痴な私を理解させれるのか試したい…。
『あ…、あの…、恐れ入りますが…教えて…くだ…さい。』
『よし!じゃぁテスト終わった次の日の放課後な!物理準備室へカモン!』
『了解…です。』
『ん。ちなみに蒼井ちゃん、物理何点だったの?』
『…16点。』
これは呆れる。絶対呆れる。怒られるかな…さすがに…
『え?』
うわやっぱこれ怒られるやつ…
『良いじゃん!!』
は??意味わかんない!なんで?!
チャラ男からしたら高得点なのか…?!待てよ待てよ、チャラいとはいえ県下1位の高校から来た人だ…
もしかして86点と聞き間違えてるとか?それとも20点満点と思ってる…?!
『あの、100点満点…ですよ?』
『わかってるよ!蒼井ちゃん!良いこと良いこと!』
スーッと綺麗に並んでいる歯を見せ、笑って私の頭に手を置いた。そしてこう言う。
『だってあと84点伸ばせるってことでしょ!』
ドアが開いた。直美ちゃん帰ってきたか。さて、私に視界をください…!
『あの、眼鏡返して…』
ところが現れたのは直美ちゃんではなく一人の男の人だった。
頭が小さく、引き締まった体で足も長い満点体型。金髪に近い茶色の髪が目立つ。見える範囲では白い服を着ているようだ、流行りなのかな。
『あ!ごめんなさい!間違えました!あの、ここって家庭準備室じゃないんですか?』
低く透き通った声で語りかける。
『え!!あ!!!そうで…す…。合って…ます。ごご、ごめんなさいお見苦しいものを…これ…には事情が…』
男に対する耐性はほとんどない。
ましてや地味子だぞ?!そんな奴のドレス姿をこんないかにもキラキラした人生送ってますって言ってそうな男に見られた日には…!!
あぁ、黒歴史だ…。
すると男の人はスッと入ってくる。私の目の前に現れ、優しく笑って話かけてくる。
『あなたは、生徒なの?』
『は、はい…。あ、あの、ここに何の用があられて…』
『あははっ、ちょっと村田先生に事務連絡があってね。あ、名乗るの忘れてた。俺、倉木翔っていいます。あなたは?』
『蒼井…です。』
『蒼井ちゃん!よろしく!ちなみに何年生?』
『3年…です…。』
『え?そうなんだ!受験生がこんなことして大丈夫なのか〜?』
ニヤっとして私の額をツンツンしてくる。
やめてくれ!恥ずかしい!!こんな地味女子にこんなことをするとはかなりの熟練者だ…!
頭を激しく下に傾け、振り払う。
『ややや、やめてください!これには事情があるんです!直美ちゃ…村田先生に無理矢理着せられて…!』
『あははっ、そんなに慌てないでよ、まぁ良いよ。かわいいし。ちゃんと勉強もしろよ〜。』
かわいい…どこが?私をバカにしてるのか…?
倉木という男はそう言うとにこっと笑って私の頭をポンポンする。
そしてしゃがんで私の座っている椅子の手すりに両腕を乗っけて話しかける。
『ちなみに蒼井ちゃん、最近の模試はどうだったの?』
模試…か…。再び物理の16点がフラッシュバックする。
『えっと…全体的には悪くなかったです。物理が飛び抜けて…悪いですけど。』
にしてもこの人馴れ馴れしいな…
すると急に男は立ち上がった。
『物理が悪い!!!?』
目を大きく見開き、すさまじい圧力を感じさせた。
え、これ禁句?え、地雷踏んだ?ヤバい?地味なんだから物理くらいできろ、と…?
『あ、あのすすすすみません!!定期テストは毎回暗記だけで高得点をとり、ただ、どのようなときにどのようなものがどう作用するのか…』
『ちょうど良い!!』
私の肩を両手で揺さぶってくる。
『…え?はい?』
『俺、物理担当だから、何でも聞いてよ!』
え…!!え!!!
この人、教師だったの…?!!
だって髪の色チャラいし、生徒へのボディタッチがホスト並みだし、シュッとした顔してるし、絶対、外部の人か卒業生かと思ってた。
百歩譲って体育教師ならありえそうだけど、物理…?!!
あ!白い服ってよく見たら白衣だ!!
『あーっ、今、こんなチャラメガネが物理教師なの〜?ありえなぁ〜い!って思ってたでしょ!』
バレた…か…。
『あの…、えーっと…。あ!むむむ村田先生当分ここには戻ってこられない感じですよ!!出直していただくことをおすすめしま…』
『あはは、ごまかすとはひどいなぁ〜。俺、こう見えて去年まで県下1位の菱ヶ丘高校で教えてたんだけどなぁ〜』
なぬ?!!菱ヶ丘だと?!!このチャラメガネが?!!
菱ヶ丘高校は県下ナンバー1の優秀な高校だ。有名大学の合格率も70%を超えている。
ちなみに私の高校は鶴ヶ丘高校といって一応県下ナンバー2なのだが、菱ヶ丘との間の壁は厚い。有名大学合格率は30%前後だ。
にしても、直美ちゃんと同様、人って見た目によらないなぁ…
悔しいけど、これは、物理を教えてもらいたい…。どこまでこの物理音痴な私を理解させれるのか試したい…。
『あ…、あの…、恐れ入りますが…教えて…くだ…さい。』
『よし!じゃぁテスト終わった次の日の放課後な!物理準備室へカモン!』
『了解…です。』
『ん。ちなみに蒼井ちゃん、物理何点だったの?』
『…16点。』
これは呆れる。絶対呆れる。怒られるかな…さすがに…
『え?』
うわやっぱこれ怒られるやつ…
『良いじゃん!!』
は??意味わかんない!なんで?!
チャラ男からしたら高得点なのか…?!待てよ待てよ、チャラいとはいえ県下1位の高校から来た人だ…
もしかして86点と聞き間違えてるとか?それとも20点満点と思ってる…?!
『あの、100点満点…ですよ?』
『わかってるよ!蒼井ちゃん!良いこと良いこと!』
スーッと綺麗に並んでいる歯を見せ、笑って私の頭に手を置いた。そしてこう言う。
『だってあと84点伸ばせるってことでしょ!』