アオハルの法則

この前のチャラ男、ではなくて倉木先生が入ってきた。

確かに姿はこの前見たのと変わっていない。でもこの時は、不思議とチャラいオーラは感じられず、むしろどことなく貫禄や品格が感じられる。

『初めましてー、倉木といいます。』

簡単に自己紹介している時でも先生らしさがある。そして繰り返す。

『初っ端から嫌だろうけど、テスト返すー。』

お、テストか。私、物理は定期テストだけは得意ですぞ。出題者は前の先生だし今回も結構取れてるとは思うんだけどなぁ〜。

物理の授業のクラスはD組とE組が合併していた。

D組のテストが配られ、E組に入る。

『相葉〜。次、蒼井〜』

お、呼ばれた、これはもうサッと取ってサッと帰ろう。きっと本当の蒼井はこの見た目だってわかったらもう今後あんなボディタッチなどしてこないだろう。

そして再生紙を掴みスッと取る…つもりだった。

あれ?取れない…?

顔を上げる。

『よく頑張った』

そう言って倉木先生は紙から手を離した。

ぬお!!

あ、褒めてくれたのか…。まぁ定期テストだしな。

紙を開く。

90点か。悪くないな。

そして全員のテストを配り終えるとバネの器具を手に取り、軽く授業を始めた。

『受験生みんな単振動苦手!!バネの運動!!だって上いったり下いったりするからー!』

バネの器具が上下に伸び縮みする。

迫力がすごい。もう私の頭からはチャラ男のイメージなんて吹っ飛んでいた。

他の生徒たちはこいつはただ者ではないとざわついている。

『そこ静かに!喋らないよー!』

この前の印象とは真反対。とても厳粛だ。

倉木先生は次にチョークをとり要点をまとめだした。その中には私が知らなかったこと、今までになかった考え方がたくさんあって、書き写すにつれて全くわからなかった分野が自ずと理解できるようになっていた。

この人すごい…!!もしかして魔法使いなの?!書き写すだけでわかるようになる板書を作れるなんて、見上げたものだ…!!