〜テストが終わった日の翌日〜

3年になって初めてのテストも無事終わり、新たな日課表が配られた。

えーっと、1時間目は物理…か。

やだなぁ、あ、担当誰だろ…

下の欄に目をやる。そこには倉木の2文字が。

『く、倉木!!?』

この前のチャラ男ではないか!!!?

再び黒歴史がよみがえる。

思わず頭を抱える。顔が熱い。

どんな顔してあの人の授業を受ければいいんだ…?!

いや、待てよ。この前はドレスも着ていて、眼鏡も外してて、髪型も流行りの感じだった。でも、今日はいつもの分厚い黒縁メガネで髪も下ろしてて顔もかなり隠れてる…!!

きたぁぁぁ…バレないワンチャン!!!

《蒼井ちゃん》

ふと倉木先生の声を思い出した。

…ぬおおおおお!!!そうだ!名前を言ってしまったんだった…。

これは一巻の…終わり…。はぁ、これがほんとの恥だ…。

『はぁぁぁ〜…。』

うなだれて机を頭を付けていると、誰かにガシッと頭を掴まれた。

『蒼井、なーに、うなだれてるの』

頭をあげて声のする方を見るとそこには津田祐太(ツダ ユウタ)がニヤッとしていた。

『…ん、なに。』

津田はこの高校で唯一の同じ中学の人だった。イケてそうなグループにいて、整った顔や運動神経や頭の良さから女子からの人気も高い。

そんな私とは縁遠そうな男子がどうして同中だからといっても私などに親しげに絡んでくるのかは私自身も謎だ。

男子が苦手な私の方は冷たく対応して逃げようとするが、なかなか懲りない。

まぁ、悪い奴じゃないし、頭良いから尊敬できるとこもあるんだけど。

『なに。はねぇだろ〜。あ!やべ!あと1分で授業じゃん!蒼井も急げ!行くぞ!!』

しゃれた腕時計を見ながら焦る津田。

『ほんとだ!やっば!』

私も焦って机の中からサッと教科書とノートを取りだす。

津田とともに走って教室移動をし、なんとか間に合って物理教室に着いた。