風が心地よく吹く、草原に七海はたっていた。
小鳥たちのさえずりも聞こえてくる。
七海はその風に身を任せてくるりくるりと回った。
髪は風にあおられるが気にしないでくるりくるりと回った。
(風ってこんなに気持ちのいいものなんだ…!)
草木の香りを七海は嬉しそうに楽しんだ。
でも何かが足りないような気がした。
七海はひとりで楽しんでいるが何かが足りないような気がしていた。
でもそれがなんなのか、何が足りないのかが七海にはわからなかった。
(逃げて……逃げて……!)
どこかで声がしたような気がした。
七海は辺りを見回したが誰もいない。
(逃げて……逃げて……逃げて……!)
やっぱり誰かの声が聞こえたような気がした。
七海には誰の声なのか、どういうことなのかわからなかった。
それなのに、七海は走っていた。
何から逃げているのか、何処に走っているのかわからなかったけどそれでも走った。
(………!)
七海は走るのをやめた。
肩で息をしながら、目の前に広がる光景に驚きを隠せなかった。
七海が見ているのはどこかの街のようだった。
なんだか懐かしいような感じがした。
でも七海は覚えていない。
この場所がどこなのかをー。
だが、そんなことより七海は目の前に光景に恐怖を感じていた。
街は火の海となっていた。
人が必死に逃げているが火の海から逃げることができていなかった。
七海は人が死ぬ瞬間を見ているような感じがした。
(いや……いや…嫌々嫌々嫌々!)
七海は頭を抱えて目を固くつむった。
どうかこの光景が夢であるように…!
どうかこの街がもとに戻るように…!
願った。
固く閉じた目と口を、固く握った両手を、
自分の全てを捧げるように七海は願った。
(どうか人が死にませんように…!)
小鳥たちのさえずりも聞こえてくる。
七海はその風に身を任せてくるりくるりと回った。
髪は風にあおられるが気にしないでくるりくるりと回った。
(風ってこんなに気持ちのいいものなんだ…!)
草木の香りを七海は嬉しそうに楽しんだ。
でも何かが足りないような気がした。
七海はひとりで楽しんでいるが何かが足りないような気がしていた。
でもそれがなんなのか、何が足りないのかが七海にはわからなかった。
(逃げて……逃げて……!)
どこかで声がしたような気がした。
七海は辺りを見回したが誰もいない。
(逃げて……逃げて……逃げて……!)
やっぱり誰かの声が聞こえたような気がした。
七海には誰の声なのか、どういうことなのかわからなかった。
それなのに、七海は走っていた。
何から逃げているのか、何処に走っているのかわからなかったけどそれでも走った。
(………!)
七海は走るのをやめた。
肩で息をしながら、目の前に広がる光景に驚きを隠せなかった。
七海が見ているのはどこかの街のようだった。
なんだか懐かしいような感じがした。
でも七海は覚えていない。
この場所がどこなのかをー。
だが、そんなことより七海は目の前に光景に恐怖を感じていた。
街は火の海となっていた。
人が必死に逃げているが火の海から逃げることができていなかった。
七海は人が死ぬ瞬間を見ているような感じがした。
(いや……いや…嫌々嫌々嫌々!)
七海は頭を抱えて目を固くつむった。
どうかこの光景が夢であるように…!
どうかこの街がもとに戻るように…!
願った。
固く閉じた目と口を、固く握った両手を、
自分の全てを捧げるように七海は願った。
(どうか人が死にませんように…!)



