ミリアム!

七海がここに来てから1週間がたった。
あっという間に時間はたったが、七海は私たちに心を開いているようには感じない。七海は何かを欲したり、食べたいといったりすることがなかった。
つまり…欲がないんだよな……。
服もここにきたときから同じ服しか着てないし、どうすればいいんだろう?
あっ、服はちゃんと渡しているんだよ、クローゼットにあることもちゃんといったし着てもいいよっていったんだよ。勘違いしないでね?
それでも同じ服を着ているのは何か理由があるんじゃないのかな?
でもそういうのって本人に聞きにくいんだよね。
どうしよう…。
「………優。」
うーん、気分転換に外に行くのがいいのかな…?
「………美優。」
でも外に出たくなかったら無理に出すことになっちゃうし、どうしたらいいかな…?
「……美優。」
それなら施設内で遊べるところに連れて行って……
「……美優、無視してやるな。」
ぽんぽんと肩を叩かれてハッとする。
振り向いたら隼人と七海がいた。
七海は目に涙を溜めているから、ずいぶん前からいたことがわかる。
「ご、ごめんね。七海ちゃん。それでどうしたのかな?」
「外に行きたいの。美優と隼人と一緒に。」
「うん、いいよ。」
そういうと、七海は少し照れながらはにかんだ。
それをみて、私は嬉しくなる。
(慌てなくてもいい、少しずつ心を開いてくれるのを待とう―。)
そう考えながら、3人並びながら外に向かって歩き出した。