「お願い!この娘だけは見逃して…!」
女はそう必死に男にいった。
だが、男はニヤリと笑っていった。
「嫌だね。」
そう言って女を殺した。
少女は女に手を伸ばした。
しかし、その手は届かず、他の女が少女を守るように囲んだ。
少女は不思議そうに女を見上げた。
女は少女を抱いて安心させるように言った。
「大丈夫だよ…大丈夫だから…」
そう言っている女のほうが震えていた。
(私を庇わなければ死ぬこともないのに…
出会って間もないのにどうして守るの?)
そう思っていても少女は言葉にしなかった。
女の仲間が一人またひとりと殺され少女を抱いている女だけが残った。
男のほうを向いて女は言った。
「この娘を殺さないであげて…!」
「…それは無理だ…」
そう言うと女を殺した。
男は少女の前にたって言った。
「これでお前を守るものはもういない。」



「さよならだ…」

そう言って少女を殺そうとしたときー
「グハッ…‼」
男は血をはいて倒れた。
「大丈夫?」
少女の前に15歳ぐらいの少女が立っていた。
「うん。」
少女はそう小さく答えた。
「よかった…」
「…あの…」
お名前は?と聞く前に声が聞こえた。
「美優、平気か?」
「平気だよ。」
少女と同じくらいの少年が美優と呼ばれた少女に聞いた。
そして、しばらくして少女のほうを見ていった。
「この娘が例の娘?」
「うん、そうみたい。」
「そうか…」
そう言うと、少年が少女と目の高さを合わせていった。
「怪我はないか?」
こくりと少女は首を動かした。
「こいつらはお前の知り合いか?」
「…違う…」
少女は小さく答えた。
少年は驚きもせずに聞いていた。
そして、美優と呼ばれた少女は質問をした。
「怖かった?」
少女は首を横に振って言った。
「全然、平気…。慣れてるから…」
少女がそう言うと少年と美優と呼ばれた少女は少女を抱き寄せた。
「………!?」
少女は何をされたのかわからずに首をかしげた。
そして少女に聞いた。
「あなた、名前はあるの?」
少女は小さく頷いた。
「教えてくれる?あなたの名前。」
「………七海。」
「七海ちゃん、私の名前は美優。」
「俺の名前は隼人。」
「美優…と隼人…?」
「そうだよ。」
七海の顔を見て2人は言った。
「七海ちゃんは守りたいものがある?」
「どうして?」
「私たちは守りたいもののために戦っているから。」
「君はこれからどうやって生きていく?」
「……わからない。」
「この人たちのような人を出したいと思う?」
「……出したくはない…」
「じゃあ、俺たちと一緒に行こう。」
「どこに?」
「守りたいものを守るための戦いに!」
そう言って隼人は七海に手を差し出した。
七海はその手をまじまじと見た。
それは初めて差し出されたものだった。
七海はその手をとり、答えた。
「うん!」