「お主が織田信長となり、天下統一を成し遂げるのじゃ。」
何を言い出すのかと思えばそんなこと。無理に決まってるじゃないか。織田信長は男、私は女。性別が違うし。日本史出来ないし。織田信長ってとっくの昔に死んでるし。
フルフルと首を振って否定する。織田信長になれと言われても意味がわからない。
「ちょっとこっちに来るのじゃ!」
そう言って私の手を引っ張り、窓?のような所へ連れていく濃姫さん。窓ガラスはなく木の板で出来ている。最初から開いていたそこからは空が見えていた。1階ではなさそうだ。
「これが尾張国じゃ。」
そう言って下を見渡すと…
田園風景やら、時代劇に出てきそうな古びた家やら、田畑仕事をしている人が小さく見えるが、機械やらを使っておらず、手作業で行っている。
それに…洋服を来ている人がいない!Tシャツもジーンズもスカートも着てる人がいない!教科書や時代劇ドラマでみるような格好の人達しかいない。
道路は?車は?ビルは?コンビニは?一体どこに来てしまったの?
「広いであろう?でも日の本はもっと広い。そして日の本の外、海の向こう側にも異国が広がっているらしい。知っていたか?世界は平ではないのじゃ。丸くなって繋がっているらしいのじゃ。殿から聞いた話じゃがな。」
濃姫さんが何か言っているが、私の耳には入って来ない。この自分が置かれている状況が、何なのか。私が目を覚ます前にいた景色と違いすぎる。田舎だといってもこれ程まで、コンクリートも車すらない所なんて初めて見る。
ま、まさか、私…
「どうじゃ?この戦国の世を、アマセが統一してみぬか?」
戦国時代にタイムスリップしちゃったの!?


