「エイジ元気?」

なんとなく話の流れで、そんな風に聞いてみた。

「元気ですよ、夏休み入ってからは会ってないけど。」


そうか、仲良しでもやっぱ学校でしか会わないもんなのかな?


「私も全然会ってないんだよね…やっぱ彼女できたのかな?」

わざと気にしてないようにそう話したら、レン君はとても複雑そうな苦笑いをして黙ってしまった。



「エイジ君ってあれ?モモちゃんの彼氏の?」

カオリちゃんがそういって話しに入ってくるので、ああやっぱりあの時のモモって子と付き合ってるんだと思う。


「やっぱりそうか…」


今まではっきりとは知らなかったのに、やっぱり改めて言われるとめちゃくちゃ凹む。

カオリちゃんのビールのお代わりを持ってきた鉄さんも、その話しを聞いていた。


「アイツもまともな彼女できたんだ、良かったなぁ。なあ?」

私に念を押すように言うので、わかってるくせに何だか今日はちょっと意地悪だなって思う。


「リンダ、もうアイツには関わんなよ。」

鉄さんはちゃんとわかってる、私がエイジのことふりまわしてたの。
ちゃんと付き合わないなら、あきらめろってことだよね。


「別に、エイジが勝手にうちに来てただけだもん…」

「そう仕向けてたのはお前だろ?わざとやってんのわかるよ。
もうそういうの止めろな、アイツ可愛そうだろ。男は逃げると、追いかけるもんなんだからな。」


わかってるよ、わかっててそうしてきたんだもの・・・

正論過ぎて泣けてくる。


「私から連絡するなんてことしないですから、もう会わないですよきっと。」


「お前はそれでいいのかよ? ちゃんとホントのこと言って、別れてやれよ。」


鉄さんの言葉がいちいち心に刺さる。



「何?リンダちゃんってエイジ君の元カノなの?」

カオリちゃんが全然空気読まないでいきなり会話に入ってきた。


「ちがうよ」


もしも彼女だったら、エイジはどうしていたんだろうな・・・
この2人みたいに、ここで仲良く飲んでられたのかななんてぼんやりと思ってしまった。


「ちょっとまって、全然話が見えないんだけど!」


何だか声が大きいなあ・・・
思わず笑いそうになる。


間に座っているレン君が、何だかおろおろしてるのがわかった。

鉄さんはそんな2人を見て笑っている。



「なんだろうね、セフレかなぁ・・・」

はっきりそう口にすると、何だか切ないなあ。



「なんで、今の話ぶりだと、めっちゃリンダちゃん、彼の事好きっぽいじゃない!」

何でこの子は、こんなに真剣に話してんだろうって思う、今日偶然知り合った他人なのに。

レン君が、そんなカオリちゃんの勢いに負けて、隅っこに逃げてしまった。


「なんでちゃんと付き合わなかったの?」

「だって、あの子ずっと年下だもん、はじめ会ったときはホントに子供だったし。」

「そんなの、うちらもそうだよ?レンなんて8つも年下だもん。でもちゃんとレンは言ってくれたよ、付き合おうって。年なんか関係ないじゃん!」


何だか凄く熱い子だなあ・・・

自分たちのことと似ているから、心配してくれているのかしら。


っていうか、彼女私より年上なんだ、下かと思った。