次のメールが来たのは、あれから一週間後だった。

土曜の夜、うちに帰る途中メールが鳴る。

いつものようにうちに来るというので、いつもの喫茶店で待ち合わせをする。


私の方が先についたから、適当にご飯を食べてビールを飲みながら待っていると、すぐにエイジはやってきた。


「早かったね?なに食べる??」

私はエイジの分のグラスも用意してあげて、自分が飲んでいた瓶ビールをついであげる。

「じゃあ、焼ソバ。」

エイジははじめてきたときのあのメニューを選んで、それを黙々と食べていた。


あれから二年もたったんだなと、懐かしく思い出す。

すっかり男らしく、たくましくなっちゃったなって思う。


「なんかあったの?」

少しいつもと雰囲気が違っているのに気付いた。
この前レン君の妹の事を聞いちゃったから、私が気にしてるだけなのかもしれないけど。

「べつに、何となく暇だったから・・・」

「ふーん、そっか・・・」

適当に返事をすると、冷蔵庫から勝手におかわりのビールを出して、またエイジについであげて、自分のグラスのビールを飲み干した。


「やなことがあったとかじゃなくて、よかった。
私そんな、慰めてあげたりとか出来ないもん・・・」


そう、私は彼女でもなんでもないんだもんな・・・
うまいこといえなくてもどかしくて、ただじっとエイジが食事をする手を眺めていた。

この手が私を、いつも癒やしてくれるんだなと思うと、おなかの真ん中がジンジンとうねっていくのがわかる。



「リンダちゃん、この前マキちゃんとか石井さんとか来てたわよ。」

いつものように、ママが気さくに話しかけてくれるから、間がもたなくなっていたのがちょうどよくて何てことない雑談を始めた。

「リンダちゃん呼ぼうって言ってたけど、どこかいってたの?」


「ああ、その日は友達と違う店で飲んでて。」


きっと鉄さんの店に呑みに行ってたときだななんて思い出した。




エイジはずっと黙ったまま、ぼんやりと外を眺めているばかりだ。



二本目の瓶ビールを飲み干すと、私は会計を済ませて立ち上がる。


「そろそろ行こうか?」


エイジはいつものように、私についてきてくれた。




微妙な距離感は相変わらず、そういえば手を繋いだこともないんだって思った、ベットの中以外では・・・