「ねーってばー江美ー!」
ここはオシャレなカフェテリア
友人の仕事のグチを聞かされてる最中、ぼーっとしているのがバレた。
自己紹介をすると、私の名前は斎藤江美(さいとう えみ)
いたって普通のOLの23歳独身。
「ほんと江美ぽけーっとしすぎだよー!そんなんじゃ私が先に追い越しちゃうからね!」
何を先に追い越すんだと思いながら、冷めたカフェオレに口をつける。
「てか、まだ連絡取ってるの?その顔も知らない誰かと」
一瞬目を見開いて、目線を右上に移す。
『あー、まあね。なんか日課ってゆーか、なんてゆーか。』
「ふーん。いいかげん顔写真くらい交換したら?気にならないの??」
別に〜とか空返事をしたところで別の話題に変わった。
今はSNSが主流になっていて、どこの誰とでも繋がることができる時代。
本来は知り得ない人とも関わることが出来るという、便利でもあり危険でもある。
そんな私もかれこれ2年くらい連絡を取り合ってる人がいる。
知っていることは、性別が男性であること。働いているということ。犬を飼っているということ。
あ、あとは弟がいるって話聞いたな。
顔写真を交換出来ないこともないのだが、お互いそれを要求もしないし、触れたりもしない。
だって実際怖いし。マジで男かも知らないし。
今の時代じゃ逆に珍しすぎるかもしれないけど、私はこのくらいの関係で満足している。
きっといつかお互い結婚して、てか相手はもう結婚してるかもだけど。
きっと自然に連絡が途絶えるようになるんだろうなと思ってる。
それまで他愛ない話で盛り上がれたらいいな。