「うん、やっぱりバルコニーが一番海がよく見える」

んー、と少し伸びをしたあと近くにあった2人用の椅子に座りなにかを描き始めた
心地良い風がふわりと髪や服をなびいていく

それにほんのり香る海の潮の匂い
そして砂遊びやビーチバレーする人や海で泳ぐ人がいる

「…………」

そこへ秋斗がやってきた
だが千咲は集中していて全く気付かない

「秋斗先輩?」

「あ、うさ…」

「何して…あぁ。なるほど」

創汰が秋斗の目線の先にはスケッチブックと景色を交互に見ながら描いている千咲の姿

それを見た創汰が納得した

「あいつ、一回なにかに集中すると周り見えないんで後で声掛けてやってくださいね」

「え…」

「オレ、秋斗先輩のこと信用してるんで。じゃ」

そう言って下へ降りていく
千咲になにか用事があったんじゃないかと思ったがただ様子を見に来ただけらしい

キリの良いところで声を掛けて千咲に差し入れでジュースを渡す

「ずいぶんと熱心に描いてたね」

「あ、ごめんなさい。声掛けづらかったですよね?」

「いや?でもなに描いてたの?海?」

「はい!あ、じゃあどうぞ」

千咲はスケッチブックを秋斗に渡してそれを見てやっぱりすごいなと感じた
細かく繊細に描かれた海

自分には全く出来ないと関心する

「……千咲ちゃん。明日の海楽しもうね」

「はい!」


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