お母様は、葵がお嫌いだったみたい。

葵は元々、お父様が拾った方の娘だって。
しかも、親子ともに、姿を消しているの。まるで、彼の赫夜姫の如く。

紅い目をしていたけれど、あれは、ゾッとするわ。どうやら、人ではなかったみたいだけど。

そうそう、あれは琵琶の名手だったわね。
上手いのは認めるけど、琵琶の名手くらい、他にもいると思っていたけど、案外、あと一人しかいなかった。

常磐の典侍。
今は、尚侍に昇進したんだったっけ?
この人は、普通の姫君だった。
確かに、綺麗な人よ。

この姫、桜のお姉様と、忍君という人を取り合ったことがあるの。