私は若草と呼ばれていて、某邸に住んでいた。

私には、姉が一人いた。
名を、聖子と申し、桜と名乗っていたが、呆気なく死んでしまった。

恋煩いで死んだのよ。
哀れなのかしら。

そして、もう一人姉がいることを知った。

葵と名乗っていた、私達の教育係として受け入れられた上臈の女房だった。

うちの別邸で一番立派な、一条に住んでいた。たしか、藤の花が綺麗だった。
だから、葵ははじめ、藤一条と名乗っていたのよね。

葵はお母様に嫌われて、邸を追われたらしいけれど。