「被害者の男の子は、早瀬先生と木南先生の息子さん」

 「……え」

 木南先生と早瀬先生が夫婦だった事以上の驚きに、一瞬息が詰まった。

 「…早瀬先生は、元カノを失った後も、命日、月命日も欠かさず元カノのお墓参りに行っていたらしいんです。それは木南先生と結婚した後もずっと続けていて、おそらく今でも足を運んでいるんだと思います。…でも、その事実を早瀬先生は木南先生に言っていなかったそうです。この世にいないからと言って、毎月元カノに会いに行く事を木南先生が良く思わないかもしれないと懸念したんだと思います」

 「……」

 返事をすることさえ儘ならなくなった喉を右手で摩りながら、桃井さんの話の続きに耳を傾ける。