「お邪魔しました」
そして、3人で藤岡さんの病室を出た。
「じゃあ、オレはこれで失礼しますね」
関屋くんが早瀬先生とオレに軽く会釈をしながらエレベーターの方へ車椅子の向きを変えた。
「忙しいところ時間作ってくれてありがとうね、関屋くん」
関屋くんにお礼を言う早瀬先生に続き、
「本当にありがとうございました。藤岡さんの担当医だというのに、私は何も出来なかった。どうすれば、何をすれば良いのかも分かりませんでした。関屋くんの話を聞いて、色々気付かされました。ありがとうございました」
オレも感謝の気持ちを伝えながら、勢い良く頭を下げた。
「やめてくださいよ。たいした事なんかしていないじゃないですか。それに、オレが昔にしてもらった事をやっただけですから。先生たち、仕事忙しいんじゃないんですか? もう戻ってくださいよ。オレも帰りますから」
関屋くんは、『頭上げてくださいよ。過剰に感謝されると居心地悪いわー』とオレに顔を上げる様に促すと、困った笑顔を浮かべながらエレベーターに乗り込んで行った。



