木南先生のオペを手伝わせてもらったり、診察をしたり、溜まった書類を整理したりして、木南先生と早瀬先生の関係を知る事もないまま数日が過ぎた。
相変わらず、藤岡さんとの接し方は手探り状態。
藤岡さんの術後の治療は良好。しかし、生きる気力を無くした彼女にリハビリの話を切り出しても、聞き入れてもらえないどころか、怒らせて泣かれてしまう。
事故によって大きく人生を変えられてしまった藤岡さん。簡単に前向きになれない事は当然。怒りが収まらないのも、悲しみが深いのも当たり前の事。
分かってはいる。死をも意識した人間の気持ちを簡単に前向きになど出来るはずがない事も。
だからと言って、このまま時間を掛けて藤岡さんの気持ちが落ち着くのを待つのが得策なのかは疑問。
だって、もしオレが藤岡さんの立場だったとしたら、自分の置かれた現状に納得する日などやってくるのだろうか。



