メーデー、メーデー、メーデー。


 「で? そんな藤岡さんをどうやって宥めたの?」

 木南先生が、オレの対応の良し悪しを判断すべく、頬杖をつきながらオレに尋ねた。

 「早瀬先生が来てその場を収めてくれました」
 
 「カッコ悪!!」

 昔のコントの様に、デスクについていた肘をわざとらしく滑らせ、『ガク』っと頬杖を崩してみせる木南先生。

 「木南先生が来てくれたら良かったんですよ!! オーベンなんですから!!」

 桃井さんの言葉をそのまま木南先生にぶつけると、

 「午前が診察で午後からオペの私が、どうやって行けっていうのよ。それくらい自分でなんとかしなさいよ」

 木南先生に、呆れながら白けた視線を向けられた。

 「…だって、気付いてしまったじゃないですか。桃井さんの好きな人」

 オレも違った意味で白ける。だって、ライバルが悪すぎる。

 「あはは。気付きましたか。なかなかの強敵でしょ」

 『どんまーい』と言いながらオレの肩を叩く木南先生は、明らかに劣勢のオレの事が面白くて仕方がないらしい。