メーデー、メーデー、メーデー。


 「ちなみに桃井さんは、彼氏さんとかはいるのでしょうか?」

 「彼氏は、いないと思う」

 オレの質問に、不敵な笑みを浮かべながら意味深に答える木南先生。

 オレは単純明快な性格な為、こういうまどろっこしい返事が嫌いだ。ハッキリ教えて欲しい。桃井さんの彼氏の有無でオレのテンションが大きく変わる大問題なわけだから。

 「その言い方だと、好きな人はいるって事ですか?」

 「見てればすぐ分かるから、そんなに焦りなさんな。しかし、若いねー。一目惚れでモンモンとするとか。面白ーい」

 木南先生はオレの質問には答えてくれず、オレを小バカにすると、

 「皆さーん。今日から脳外ローテートの研修医の…」

 看護師の皆さんにオレを紹介しようとしたが、オレの名前を覚えていなかった。

 脳外の医師たちの名前を木南先生しか覚えなかったオレも大概だが、たったひとりの研修医のオレの名前を記憶していない木南先生も酷いものだ。