2年目の研修医が手伝える事などほとんどなく、圧倒されながら早瀬先生のオペを見学していると、

 「早瀬先生、お忙しい中申し訳ありませんでした。交対します」

 オペ室のドアが開き、木南先生が入ってきた。

 「そちらのオペはもう終了したのですか? 柴田くんから聞きました。吉田先生がストーマ造設しようとしたのを阻止して木南先生がオペし出したって」

 血腫除去の手を止める事なく、早瀬先生が木南先生に話し掛けた。

 「ストーマ付けずに済むところまで縫合して、あとは吉田に代わってもらいましので、藤岡さんのオペに入れます。本当にありがとうございました。助かりました」

 木南先生が早瀬先生と交対しようと、早瀬先生の傍にやってきた。

 「私は、ストーマ造設は正しいオペだと思いますけどね」

 しかし、早瀬先生は血腫の除去を止めようとはしない。