メーデー、メーデー、メーデー。


 オペ室に入る前に2人で入念に手洗い。

 川原さんのオペの前にも洗ってはいたが、電話などを弄ってしまった為、もう1度爪の間もブラシを使って擦り洗っていると、

 「さっきの電話で『木南先生の指示』って言ってたよね?」

 早瀬先生が話し掛けてきた。

 「あ、はい。今、私のオーベンをしてくれているんです。本当は急性硬膜下血腫の手術も木南先生がするはずだったんですけど、同時に運ばれてきた内臓破裂の手術に入ってしまいまして…。その手術、本当は吉田先生が執刀なのに、吉田先生がストーマ造設しようとしたら『付けずに手術出来るでしょうが!!』的な勢いで木南先生が吉田先生の座を奪ってオペし出してしまいまして…」

 早瀬先生を呼ばざるを得なかった理由を説明すると、

 「木南先生らしいな」

 早瀬先生が、クスっと目尻を下げて笑った。