「木南先生、すみません。誰も捕まりませんでした。論文が忙しいとか何とかで来てくれません」
拳を握り締め、木南先生に憤りをぶつける。先ほどの事務員さん同様、木南先生も何も悪くない。更にオペ中。迷惑極まりない行動を取っている自覚はあるが、承服し難い現実が多すぎて、怒りのやり場が見つからない。
「まーだ論文書き終わってないのかよ、しょうもな。そしたら、外科の早瀬先生に電話して」
オレの苛立りを汲み取ってくれた木南先生が呆れた顔をした。
「てことは、木南は論文出来上がってるんだ。さすがだな。…てか、早瀬呼ぶの?」
吉田先生は、そんな木南先生に感心しながら、木南先生が指名した『早瀬先生』に若干の戸惑いを見せた。
「彼なら出来るじゃん」
それでも木南先生は早瀬先生を推す。
「…出来るけどさ」
困惑気味の吉田先生を他所に、
「研修医、早く!! 外科の早瀬先生に電話!!」
木南先生はオレに電話を掛けるよう急かした。



