受話器の奥から『オレ、オペが入ってる』『オレは今から医局長と面談』など聞こえてくる中に『オレ、論文が間に合わないから無理』という声がハッキリ聞こえた。なのに、
「すみません。そちらに行ける先生がいませんでした」
事務員さんはそれには突っ込まず、オレに断りの返事をした。
「イヤイヤイヤ、論文がどうのこうのって言ってる先生、来られるでしょ。論文より人命でしょ!!」
納得がいかずに事務員さんに意見すると、
「私にそんな事を言われても…」
事務員さんには何の罪もないのに、ただ困らせてしまった。
「すみませんでした。分かりました。木南先生にもう一度指示を仰ぎます」
論文を優先する先生に腹を立てながら電話を切り、木南先生の元へ戻った。



